「まったくイギリス人は融通きかねェなぁ!」って

80年代後半、世のフィットネスブームの勢いに乗って有名になった、英国のシューズメーカー「リーボック」。そのリーボックが88年からJTCレース、ハセミモータースポーツの日産スカイライン「R31」「R32」をスポンサードしていました。そのカラーリングがまた大胆でカッコイイ。なので、当然?模型が欲しくなるわけです。が、模型・ミニカーメーカー各社が競ってグループAカーを製品化していたのに「リーボックGT-R」だけが発売されません。リーボックが、いわゆる「商標」の使用を許可しないからという噂でした。「まったくイギリス人は融通きかねェなぁ!」って。

「もー、無きゃぁしょーがねー、自分で造ろっ!」。ただ。自作となるとオリジナルロゴマークの書体やマーキングの配置を調べるところから始めないと・・・。まぁあんまり難しく考えずに、手軽に作って眺められればOKってことで。ほかのモデルと並べて楽しんじゃいましょう♪

そうと決まったら、さっそく。ベースにするGT-Rのキットを買ってきます。ただ制作時は成型色が白のGT-Rキットがまだ発売されてませんでした。「ぢゃあ、コイツでいいやっ」 何も考えずにタミヤの「カルソニック」スカイラインを購入、成型色はもちろん「あおいろ」です。まずはコイツのボディとシャーシを白くするところから。グンゼの白サフとモデラーズのベースホワイト、トドメはタミヤのピュアホワイトで。全ての工程で水研ぎ。ボディー色変えてるだけなのにスゲー大変! (この直後、白い成型色のゼクセルGr,N発売!泣)

「Reebok」のロゴをはじめデカールが揃わないマークは自作します。今回は「プリントゴッコ」と「インレタ」を併用します。(仕上がりがややビミョーですが・・・) ユニオンジャック等のベタ部分はデカールシートで。そんな事でモタモタしてるうちに、リーボックGT-RがR31型以来2度目のチャンピオンをGET!。しかも妙にドラマチックな逆転劇で。う~ん。オートスポーツの写真見てたら、ジオラマ作りたくなった(!)!なので、予定変更。ジオラマ製作開始!

製作のイメージはシーズン優勝を決めた第五戦のオートポリスに決定。ジオラマ(ワタシの世代はダイオラマなどとは言いません!♪)となれば人形や小物が必要になります。なので、使えそうなモノを一通り揃えます。人形はタミヤの「キャンパスフレンズ」、ハセガワのメカニックセット、モデラーズのレジン製を中心に、それぞれ小改造します。GT-Rを取り囲んで20人ぐらい配置できれば♪。工具や周辺小物は基本的にフジミのツールセットを使いますが大物機材等、無い物は自作します。

ここでいきなり完成(!?)写真です♪。ジオラマ全景を上から。建屋部分も3mm厚のプラバン箱組みでガッチリと作り立体感を出してみました。・・・熱狂的なレースファンはお気づきでしょう。91年オートポリスのリーボックGT-Rのゼッケンはチャンピオンナンバーではなく、「3」が正解です。車単体で製作を始めた時は90年のディフェンディングチャンプカー(ゼッケン1)にしたかったので、結果的にこんなチグハグなジオラマになってしまいました。(注:気付かなかった事にしてお進み下さい)

レースファンのあいだでは有名な名勝負、リーボックがシーズン優勝を決めたオートポリス。その雨の予選ピットを再現してみました。ここまでのあらすじ(笑) 91年10月、前年シーズン同様GT-R同士の首位争いが続く中で迎えた第5戦オートポリスの予選は雨。長谷見の駆るリーボックGT-Rは一時トップタイムをマークするも、土壇場でスリックに履き替えたカルソニック星野の猛アタックによって結果は2番手に。翌日、快晴で迎えた決勝でもこの2台の壮絶なドラマが繰り広げられる事に・・・続く。

バブル景気の勢いで造られたばかりの九州の「F1サーキット」、オートポリスでの初のツーリングカー選手権です。このピットのすぐ後ろは高橋(健二)・土屋選手を擁する第4のGT-R、「TAISAN」チームでした。「Gr,Aのクラス1はGT-Rじゃないと勝てない・・・」。ツーリングカーレース人気の立役者、GT-R自身がGr,Aを消滅に追い込む流れが始まった時期でもありました。雨の中目標タイムに届かないまま、タイヤ性能に勝る敵のGT-Rの動きを伺うチームの緊張感が出せたでしょうか?。

富士スピードウェイなどとは違いオートポリスはコースの外側にピットがあります。この為、グランドスタンドから望遠でピットを撮った写真は無くこんなアングルの方がムード出ます。全体の密度感を出すためにジオラマベース(土台)をあんまり大きくしたくなかったので、ピットエリア全体のサイズは実際より10~15%縮小してます。

走行部分のアスファルトと違いピットエリアはコンクリのようです。そこで所どころ水溜りができているコンクリの路面を表現してみます。路面には3mm厚のプラバンを使い、表面にPカッターで0.5mmピッチで筋を入れます。これにサフェを遠くから荒く吹いて塗装を済ませた後、軽くペーパーをかけます。最後にクリヤーを吹きますが、所どころに溜まるようにわざとムラに吹くのがポイント。

それではここから登場人物紹介(笑)。リーボックスカイラインといえばこの人。長谷見昌弘社長。イマイチ似てないけど、まぁ雰囲気で。ジオラマの中心に立ってもらいましょう。ハセガワのプラ製を芯に、パテの盛り削りで作ります。コレを複製して塗装します。左の緑のスーツはJTCCプリメーラ仕様です。スーツのロゴ、ワッペン類はどちらも全て手描きです。ヘルメットはモデラーズ

この人も忘れてはなりません、故アンダース・オロフソン選手。JSPCでは「Cカー」でも長谷見選手と組んでました。同じくハセガワのプラ製を芯にしてポリパテやラッカーパテで顔を作ります。何となく出来たら複製して塗装しちゃいます。彼の胴体はモデラーズ製を流用してます。眼鏡はラジコン用の銀ワイヤーをバラしてクルクルッと作ります。こちらもスーツのマーク、ワッペン類全て手描きです。それにしてもハデ!なスーツなので彩度、明度ともにやや落とした色調にしています。

給油待ちのオニーサン。彼はハセガワのインジェクション人形を改造してます。クイックチャージャーのホースは熱収縮チューブで作ってあります。アルミ棒にエナメル線をビッチリ捲き付けてチューブに通します。これをライターで炙りチューブに蛇腹模様を付けます。冷えてからエナメル線を引き抜けば蛇腹風ホースの出来上がり。ホースの形は中のアルミ棒を曲げて作ります。それっぽいでしょ♪。

おねいさん方を後ろから。せっかくジオラマ作るんだから花がないと、って予選なのに来てもらいました(笑)。ベースはモデラーズのレジン製。もとの出来がすごくいいので加工は最小限にしてますが右の1体は服を着た物を削って改造しました。このお三方、参考にした写真の都合で92シーズンのリーボックギャルをモデルにさせて頂きました。

この人形はタミヤ「キャンフレ」からの改造。一旦は準備したスリックですが溝を切る為にピットへと運んでいます。熟成が進んだとはいえBSに一歩及ばないダンロップ勢は、タイヤ選択が難しいコンディションです。ホイールはもちろん、この3カ月後にデイトナで世界一になる「スピードスター」です。

テレ朝(?)のカメラマンとダンロップの人。カメラマンは「キャンフレ」からの改造。キャップのツバを後ろにまわして左目を瞑ってもらいます。カメラはプラ材からテキトーに、レンズは1/43モデルカーのヘッドライト用を貼っただけ。もう1人はハセガワからの改造。ダンロップ製(?)のレインジャケットを着て、キャップを被ってもらいました。なんか、出来の悪いロウ人形みたい?

続いて細部の解説を少々。エンジンフードにはテキトーなヒンジを付けて開閉式にします。エンジンルームはストラットバー、ワイパーモーターエキマニ等ちょっとだけディティールアップしてます。フードの内側には補強のインナーパネルがあるんですが、あっさり省略。ヴィタローニ風のドアミラーはプラ材から自作。ラジエターグリルにはエアジャッキ用のカプラーを。

車の後ろではデフクーラーかハイキャスに不具合が発生してます(笑)。トランクリッドの「Reebok」は自作デカール、その横のユニオンジャックは手描き!。バンパーの「UnISIA」はインレタです。メカニックのハデなツナギはこのジオラマ製作を思い立った理由のひとつです。オモチャっぽくならないように全体のトーンをかなり抑えてます。

工具はグチャグチャにならない様にゴチャッと(笑)。フジミのツールセットをほぼストレートで使用。キャビネットの引き出しの取っ手に洋白線を付けてメッキモールっぽくしてます。実際にはニスモのメカニックが引き出しを開けっ放しにするなんて事はあり得ないですが、ジオラマとしての変化をつけさせてもらいます(失礼!) 色はもちろん赤くして「Snap-on」風に。左写真のツールBOX下の青い台はL字断面のプラ棒を組んで作ってあります。キャビネットの上に置いてあるスプレー缶はプラの丸棒から自作してます。

Gr,A GT-Rの泣き所、ブレーキ回りはキット素組みですがキャリパー冷却用のダクトを追加、ネジ切りされた中空のアクスルシャフトは「スプリング」で代用しています。車体下部ロッカー両端から伸びたエアジャッキはアルミ棒で長めに作り、ジオラマベースの穴に差し込んで車を固定しています。ダンロップのレインタイヤは、接着剤の上でゴロゴロ転がしてタイムアタック後の荒れたトレッド面を表現してます。

エアインパクトのホースを車の反対側に渡す支柱は真鍮線をハンダ付けして製作。その支柱の根元を支える台と圧搾空気ボンベです。ボンベはアルミパイプを適当にブッた切って上下をエポパテで成型してそれらしく。コレを複製して6本揃えます。ボンベの底は移動で擦れて塗装が剥げ、金属地が出てサビが浮いてる状態を表現します。またボンベのラックは真鍮の角棒、真鍮版をハンダ付けで組みました。

ミリタリー模型の世界ではジオラマは広く楽しまれています。カーモデルは実物が身近なだけにその正確さ、精密度や塗装のツヤを「競う」傾向があります。たまにはこんなジオラマを気長に作ってみると、また違った模型の楽しさが見えてきます♪。現在タミヤからも1/24メカニック人形が発売されているので、カーモデルのジオラマ作りもさらに手軽になるでしょう。

ひとまず完成はしたものの、カーナンバー等々いろいろと中途半端な仕上がりに・・・。次回作で頑張るってことで今回は終了。車単体をピカピカに仕上げるのは勿論カーモデル作りの醍醐味です。が、ワタシは人形(フィギュア)も好きなのでこうやってジオラマにすると一度に両方眺める事が出来るので楽しいです。

オマケ。ある時期からミニカー、プラモデルのリーボックスカイラインが一気に発売され始めました。これは2008年の静岡ホビーショー会場で(少数限定なのに)売れ残っていた!長谷見社長「直筆サイン入り」プラモデルです。苦労して自作したマーキングも、当然ながら完璧なデカール(しかもシルク印刷)が付属します・・・。

2010年の暮れ、「ホビーショップTamTam」チェーンがスケールプラモデルのコンテストを実施しました。店にR/Cパーツを買いに行く度に店内放送で告知が。せっかくだからコイツを出品してみようかな、と。簡単に梱包して自分でTamTam相模原店へ持ち込み。受付カウンターで出品申請中の先客と目が合い、ちょっと気まずいムードに(笑)・・・。手際の良いおにーさんにコレを預け、エントリー完了。後日、買い物ついでに展示を見学に。その数約100点。ほほ~っ、さすがに力作揃いですな。

受付の順番?でワタシのはガラスケースの一番下、しゃがまないと見えない場所に。「こりゃぁ、かなりのマニアじゃないと見ないな・・・」参加賞は何をもらえるのか、なんて考えました(笑)。年が明けて何度目かの週末、MTBで山の激坂を下ってる時に携帯電話に着信が。登録名の「TamTam相模原店」ってのを見て、コンテスト出品中だったのを思い出す始末。終了したから引き取りに来いって連絡だろうと思って出ると「貴方の作品が準グランプリになりました」って。え、マジっすか!?

後日表彰式へ。賞状とズッシリ重い賞品を頂きました。帰宅後に開けてみると中からこんなに。「ホビーショップタムタム」、凄い!クレオスのトリガー式ハンドピースは嬉しいです♪でもトランペッターの「レオポルド」はデカくて置く場所が・・・。後日賞金と、トロフィーまで頂きました。こんなに気合いが入った模型コンテストって・・・。次回は更にパワーアップするそうなので、ぜひ。また。